日本で最も注目されているPhat、ユニークなフォーマットとサウンドでファンを獲得中のDrum 'n' Tubaとの組み合わせで大成功に終わったThe Slipの2度目の来日公演。その様子をアメリカからツアーに出かけたファンがレポートしてくれた。日本へツアーに来るアメリカ人ファンはどのように感じたのか、彼等の目に東京や日本のファン達がどのように映ったのか。このレポートでそれが少しばかり分かって、僕にとってはとても楽しい記事だ。ちなみに写真家Rie Kasaharaは、このJambaseの記事によってアメリカデビュー。「バンドを追い続ける日本人の写真家」はアメリカのファンの間でも知る人が増えている。
wolf
THE SLIP、朝までTOKYOをロック
The Slipが2回のショーを行うために再度日本へ行くと聞いた時、僕はやっぱり彼等と共に行きたかった。最初の訪日で、素晴らしい人々が一杯のあのお驚くべき国でファンタスティックなショーを目撃していたからだ。このニュースが入った時、僕はちょうど10日間の日本での休暇を終えた所だったが、航空券はここ数年でも最も安く、すぐさま旅に出るのも悪くはない。それから数日のうちに、思ったより多くの仲間達が参道する事が判明、僕は浅草の旅館を手配する事にした。多くの寺が傍にある東京の一角だ。16時間のフライトと空港から乗り継いだ電車で1時間後、僕達は疲労困ぱいの状態で浅草に辿り着いた。
次の2日間は東京のあちこちを見回りながら、このタイムゾーンに慣れる事に費やされた。東京は驚くべき都市だ。ニューヨークのように混雑していながらロスよりも大きく、しかも人々はフレンドリーで困った時はいつでも助けてくれる。食べ物も素晴らしい。5、6ドルで美味い寿司にもありつける。
あっという間に最初のショーの夜がやってきた。まだ早いうちに会場であるクラブを探すために新宿へと繰り出す。それは新宿の赤線地区にある大きなビルの7階にあった。東京に何千とあるアーケードのひとつ、その真上にあるのだ。ショーは11時PM開演の予定だったが、The Slipは3時AMにならなければ出演しないという。ようやく日の出の後に起床できるようになっていた僕たちにとってはちょっとショック。しかたなくそのアーケードで犬の散歩シミュレーターや、寿司切りゲームで遊んだり、プリクラで写真を撮ったり、ダンス・レボリューションで踊ったり、カラオケマシンで新しいヒットシングルをレコーディングしたりして、数時間を過ごした。
1/13/02,
The Liquid Room
11時半になった。クラブは満員。500枚以上のチケットが前売りで売れていて、そのクラブは1200人以上を容易に収容できる所だった。グッズのブースも人だかりだったが、多くのファンが前回のツアーで買ったものらしいシャツを着ていたのが目立つ。日本のバンド、Phatがステージに上がる。僕は昨年Phatを観た事があった。彼等はその時も良かったが、その時よりもかなり良くなっている。そのトランシーなバイブはDaisuke Fujiwara (sax)、Naoya Numa (drums)、そしてKeisuke Torigoe (upright bass)の3人によってクリエイトされる。Daisukeの演奏スタイルはThe Slipのファーストアルバム「From the Gecko」の一曲、「Children of Atlantis」でSlipのファンにはお馴染みだ。
3時AM、遂にThe
Slipがツタや木の葉でバックドロップに用い、ジャイアントガーデンのテーマで美しくデコレーションされたステージに登場。ステージの片側はプロモーターであるPhatLeaf
Productionsを表した大きな葉っぱのモチーフがほどこされている。The Slipは「Dark Angel」でセットを開始。12/28/01、Bowery
[Ballroom、New York] でのショーでセットオープナーとしてデビューした新しいボーカル付きの歌だ。それ以来、この曲はコンスタントにプレイリストの仲間入るを果たしている。次の曲は切り裂くような「Get
me with Fuji」。最初に日本へ来た時、富士山の前でBradにカメラを渡しながら言った僕のセリフがこの曲のタイトルになってしまった。「Fuji」はSlipの曲の中でも僕のお気に入り。激しくパワフルでその下にsickなグルーブがある。僕はこの曲がバンドの1年前の体験に基づいて書かれた曲である事をみんなが知っているのだろうかと、ふと思った。
「Nellie
G」はこの曲自体よりも「Wolof」を思わせる激しさに向かって飛び立つような曲だ。その次の「Alsoa」では、バンドがUaをステージに招いた。僕の聞いたところでは、Uaは日本ではよく知られるj-popのシンガーだそうだ。「Alsoa」は1998年、99年頃頻繁に演奏されたが、近頃はローテーションには入っていない曲で、たまにしか演奏されない曲が聴けて嬉しかった。もっと嬉しかったのは観客の何人かが一緒に歌っていた事だ!曲の合間にBradが慣れない日本語で観客の写真を撮ってもいいかと聞こうとしていた。みんなが歓声を上げると、彼はカメラを持ち出して、世界共通の「もっと寄れ」を手招きでやると、観客はみんな笑いながらハコの中央に集まろうと大変だった。その後の「Dog's
on Bikes」では、ハコの右と左から手拍子を交換するゲームも始まったりする。ファーストセットは大方爆発的なセットで、セカンドセットでどのようにそれを越えるのかと楽しみにさせてくれた。僕たちはファーストセットだけでもチケット代に値すると満足げにニンマリ。これ以後はなんでもがボーナスだ。
ブレイクのほとんどはSlipのライブCDを誰にという事もなくランダムにいかにも楽しそうにしているファン達に手渡して過ごした。僕は日本語が全く駄目だし、彼等も英語を話さないから、この事自体が非常に面白い経験となった。
セカンドセットは「Sometimes
True to Nothing」で始まり、今や非常にレアな曲となった「Munf」と続く。「Munf」ではDaisukeがサックスで参加。僕達が「お飾り」と呼んでいるフェンダー・ローズ(ステージには一応セットされるものの、殆ど演奏に使われない)が「Weight
of Solomon」で使われ、この曲でも数人のファンが声を挙げて歌っていた。Bradに出会った頃、彼は自分の声をかなり意識していたようだったが、最近ではそのギター演奏と同じくフィーリングと情熱をボーカルでも物怖じせず、心地よく表現しているようだ。今夜もその例外ではなかった。
次はMarcの筆による素晴らしい曲、「Sorry」。Slipの新曲の中でも、僕は特にこの曲を気に入っている。先導するぶっ飛びのベースハーモニックスにシンプルなメロディーがかぶるこの曲は、他のバンドでは聞く事が出来ないThe Slipの特徴を見事に表した代表作だと思う。悲しみがもたらす感情の深さを伝えていると同時に、身近にある物事の素晴らしさを教えてくれる。僕を毎回ショーに来たらしめるのは、正にこのその静けさ、Humility、マジックのフィーリングなのだ。
この時すでに6時AM近くなっていた。クラブを後にしたのはほんの一部のファンだけだったが、残った大半の観客にも疲れが見え始めたようだ。「Sorry」がフェイドアウトするとMarcがかすかな「Yellow Medicine」のイントロを奏で始め、この曲の最初のセクションへと突入していく。叫び声の部分では観客も大きく盛り上がり、その後Andrewの超エネルギッシュなドラムソロが続く。2度目の叫びが疲れたファンを再び目覚めさせ、彼等は今までにない激しさで踊り始めていた。アメリカではレアでありながら来日するたびに演奏された「Honey Melon」が、人々を動かし続けながらセカンドセットの幕を閉じた。観衆は歓声を挙げ、床を蹴ってアンコールを求めている。
アンコールには、Andrewがスティールドラムを持ち出し、Naoyaがドラムキットに。Naoyaは堅実でクリエイティブなドラマーである事をこの曲で証明した。あのPhatのセットを聴いた後ではむしろ当然の事と思えた。Daisukeもステージに上がってこのショーの終わりを飾った。それが終わった時の歓声の間、僕の横では今までに見た事もない程小柄な日本人の女の子がさらなるアンコールを求めて飛び跳ねていた。信じて欲しいのだが、彼女はフルジャンプでも僕のベルトラインほどにもならなかった。この女の子に僕が持っていた最後のCDを手渡して、僕達は這うように浅草へと帰っていった。
The Slipはこの素晴らしい日本ツアーと休息の後、アメリカ全国を回り40ものショーをこなすツアーを2月1日、フィラデルフィアで開始する。The Slipのツアー日程をチェックして、この国際的なヒーロー達をキャッチしてくれ!
Jason Booth
Photos by Rie Kasahara & OrganicGroove
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和訳 by wolf
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