STEVE KIMOCK BAND | PURSUIT OF SOUND
スティーブ・キモック・バンド|サウンドの追求

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先週金曜日、スティーブ・キモック・バンドはthe Abby Pubでの3日間の公演のためシカゴへ乗り込んできた。現在SKBは長期に渡る秋のツアーで北東部、南部、そして中西部を巡っており、彼等の新しい、より鋭いサウンドでファンの注目を浴びている。スティーブ・キモックは常にギターマスターと尊敬され、特にZEROとKVHWとの数年間、サイケデリアとの結びつきによって知られている。この、いわゆるニューサウンドは、真の才能を持ちサウンド追求には驚くべき献身的にのぞむスティーブ・キモックが押し進める進化の今の姿だ。2000年2月にSKBを結成して以来、この探求と業績、つまり彼が言う「全くユニークな何か、今あるものとは完璧に異なるもの」をさらに前進させるためスティーブは最適なバンドメンバーのコンビネーションを探索し続けてきた。キモックはニューヨーク、ブロンクス出身のドラムスの名手、ロドニー・ホームスと出会う。以来、キモックの世界は今までとは違ったものと変貌を遂げる。過去にウエイン・ショーター、ブレッカー・ブラザーズ、ザ・ハルマネイターズ、そしてサンタナなどと共演したロドニーはとにかく強烈なドラマーだ。彼はジェダイナイトの猛烈さ、豹のスピード、スイス時計の正確さでプレイする。ロドニーのような演奏をするドラマーを僕はかつて見た事がない。彼は4パーツの正確なリズムを同時に叩き出し(それぞれの手足が1パート)、彼の前に立つ僕を驚愕状態に陥れる驚くべきサウンドの壁を築き上げてしまう。ロドニーの存在はSKBを完全に変貌させた。その満足げなスマイルと数多くの新曲を見ると、スティーブがロドニーと共に演奏するのをいかに楽しんでいるかがうかがえる。ロドニー自身の筆によるいくつかの新曲とロドニーとスティーブの共作による新曲が、SKBの新しいサウンドを生んだ。

ニューヨーク出身のミッチ・スタインは2001年3月からSKBに参加。彼はザ・ハルマネイターズのリードギタリストであり、いかなるバンドのリードギタープレーヤーのポストも容易にこなせる腕を持つ。彼の演奏は、多くのエフェクトやペダルを駆使した全く異なるスタイルでスティーブのプレイと絶妙なコントラストを作り出している。スティーブとミッチがいる事で、SKBはギターを愛するファンのドリームバンドとなっている。両者共に素晴らしいリズムとリードプレーヤー。僕はこのツインギターのアプローチが大変気に入っている。

現在SKBのベースはリチャード・ハモンドが担当。ニュージーランド出身だが、ニューヨークに住んでいる。リチャードは先日までアンジェリーク・キジョーのツアーに参加し、スタジオミュージシャンとしての経験は非常に豊富な人だ。僕がリチャードの演奏を観るのは今回が始めてだったが、SKBには最適なプレーヤーだと痛感した。新たに参加したメンバーとして、リチャードはSKBのレパートリーの詳細を習得する過程にある。が、その一方で、この事がこのバンドの前進期に比べミッチ、スティーブ、ロドニーにさらなる広がりを与える機会を与えたようだ。リチャードはバンドとの馴染みもいいソリッドプレーヤーだし、第一その長い髪、ヒゲ、そしてルックスが揃っていてかっこいい。

さて、この「SKBのニューサウンド」だが、過去のスティーブ・キモックの数あるプロジェクトに比べ、僕にはより鋭く、激しく、時にはダークな印象があった。この新たな方向性は共同制作の可能性を大いに備えるロドニー・ホームスの参入によるところが大きい。ロドニーはジャズ世界から来たミュージシャンであり、キモックがかつて共演したサンフランシスコのゆったりとしたサイケデリックスタイルの人ではない。だから、スティーブを長い間追ってきたファンにしてみればある意味では隔たりを感じるものかもしれない。今までにはなかったロドニーの高い精密度のお陰でタイム・シグニチャーとシンコペーションのさらに大きな制御が可能となった。音楽的には非常にいい事だ。その結果、SKBが「Tongue-n-Groove」や「Cole's Law」など、ZERO時代の名曲を演奏する際、より大きなサステインを伴う強烈でさらに高いピークを達成する事になり、低いところでも同様の現象が起こる。今のSKBはロドニーが参加する前のSKBよりも広いダイナミックレンジを持っていると思う。ロドニーの激しい演奏ぶりは目に見張るものがあり、このシカゴでの公演の間、一人の人間が一体どのようにしてドラムキットからあの膨大なサウンドを叩き出しているのかと驚愕する事が幾度もあった。この事はスティーブを今までになくモティベートしていて、彼のリグからさらに多様なサウンドを引き出すため、かつてペンシルバニアでハードロックをやっていた時のように弦上でアリゲータークリップを使う昔のトリックを使ったり、昔のロックのイディオムを用いるなど、ますます激しい演奏を繰り広げている。キモックファンとしてはたまらなくエキサイティングだ。

さらにロドニーは「Loop in C」という新曲によってSKBをエレクトロニカの世界へ導いた。この曲はまずロドニーが彼のノートパソコンでシーケンスを発動し、その上にワイルドなシンコペーションを乗せる。そしてスティーブ、ミッチ、リチャードが彼等の機材からこれもワイルドな様々のサウンドを加えていく。この曲は今も手を加えられているものだが、これはSKBにとっては新たな領域であり、僕個人にとってはフェイバリットではないものの、この曲とミュージシャン達が融合する事によってSKBのテクノの側面に大きな可能性を与えるものだと信じている。シカゴで演奏された二つの「Loop in C」は全く異なったバージョンで、強いて言えばグレイトフルデッドのDRUMS>SPACEを思わせる。DRUMS>SPACEがそうであったように、トイレに行ったり座って休む客もいれば踊りまくる人々もいる。

シカゴのショーで初めて聴いた曲がこのほかに2曲ある。一つはザ・ハルマネイターズのレパートリーで「Arf, She Cried」。これは明るいファンキーなロッカーで、[グレイトフルデッドの]「Muisc Never Stopped」を思わせ、事実「Music Never Stopped」のブリッジの部分と同じテーマのがあり、スティーブがそこで同じコード進行を演奏する。更にこの曲にはザ・ファンキー・メーターズのようなシンコペーションがあり、踊らずにはいられない楽しさがある。もう一曲は「Incantation」と名づけられたダークではあるが魅力的なナンバー。この曲が誰の作によるものかは知らないが、キモック−ホームズの鋭さに満ちており、ウィリアム・S・バローズの「ENTERZONE」のような、暗く濡れたミステリーが滴る作品だ。ダンスナンバーと言うよりは頭を振ってリズムを取るような曲で、僕は簡単にその呪文に包まれてしまっていた。

最新曲ではないが比較的新しい曲も聞けた。例えば、そんな曲の中でも僕が気に入っている「Ice Cream Factory」。アップビートでインテンス、そして踊りやすい。実際にSKBはニューヨーク・スーパー・ファッジ・クランチアイスクリームを食べているような気持ちにさせてくれる。食べ応えがあって、クランチーでダーク。満足させられる事請け合い。シカゴのショーでこれも2回演奏された「Moon People」はロドニー・ホームズ・バンドのカタログから新たに加わったもの。「Moon People」は、この夏覆いに変貌を遂げたが急激にこのバンドの馴染みの曲となった。新たに不吉な予感を呼び起こすようなミドルセクションが加えられている。僕はこれらの作風がたまらなく好きだ。鮮やかで、官能的で、ドラマチックだ。この変更と追加部の枠そのものは明らかに即興ではないが、彼等はそこに驚きと自生の息吹を吹き込み、そしてその事が正に焦点となっているのだ。グループ全体によるインプロビゼーションがここにあり、新たに広がった世界が生まれ、イマジネーションの限界が超越される。僕のもう一つのフェイバリットは「Avalon」。驚くべき喜びに満ちたインテンシティーへの盛り上がりを持つ曲であるため、通常セットクローザーとして演奏される事が多い。この曲もロドニー参加以前のSKBとは全く違った展開を見せ、2本のギターとドラムスが驚くべき飛翔を見せる場の基本となる中間部分が加わっている。シャツが汗まみれになる曲だ。もしこの曲で体が動かない時は脈拍を確認しよう。死んでいるかもしれないよ。「Long Form Part 1」と「Long Form Part 4」は、それぞれSKBによって作曲されつつある膨大な組曲の部分だ。前回シカゴで演奏された時、SKBはこの組曲の60分にも及ぶバージョンを披露してくれたが、最近はこの夏と秋に演奏されていたように二つの独立した曲となっている。今回はこの両方が演奏された。他の曲と同じように成長を遂げ、音楽的には壮大なものとなっている。もう一曲フェイバリットを言わせてもらうとすれば「Green」だろう。シンプルなケルティック・ワルツの小曲で、大変美しくスイート。

SKBはスティーブ・キモックの音楽的冒険の総大成であると言っても過言ではない。したがってスティーブは今でもZERO参加以前からの傑作「Tangled Hangers」などを演奏する。もちろんZERO時代の名作の数々、「Tongue-n- Groove」、「Severe Tire Damage」、そして「Cole's Law」なども忘れてはいないし、KVHWのナンバー「Five B/4 Funk」、「A New Africa」、「Samba」、さらに「Bad Hair」などもある。これらの曲にSKBによるオリジナルを加え、「My Favorite Things」、「Better Git Hit in Your Soul」や「Baby, Baby」などのカバー曲をちりばめると、グルーブと即興のベースとなる曲が出揃う。実際に3夜に渡って31曲が演奏され、そのうちリピートされたのはわずか5曲。これは小さなグループによる即興音楽の、正に感動と驚きに満ちた3日間だった。

初日は「Cole's Law > Tangled Hangers」というZEROの伝統的なコンビネーションで幕を開けた。しかし、これらのクラシック曲でさえ新しい展開と変化をまぬがれはしなかった。この再生の継続的なサイクルが音楽に新しい命を与え、僕が繰り返しショーを観に行く理由の根元だ。かつて「Zero Point」と呼ばれた「Tangled Hangers」のイントロでは唖然とするようなキモックのイントロが聴けた。その曲のジャムでは「これって一体どの曲だっけ?」と思わせる部分もあった。最初の夜の他のハイライトと言えば、「Five B/4 Funk」のワイルドなエンディングでロドニーがやったドラムキットを粉々にせんばかりの驚くべきプレイ。セット2のハイライトは疑いもなく化け物のような「Tongue-n- Groove」のバージョン。現在のSKBを象徴する余りにも美しく、スイートでありながら、鋭い激しさを秘めた演奏ぶりだった。観客は大勢は行っていたが、ソールドアウトではなかった。

BigA and Boulevardプロダクションはthe Abbey PubがSKBを迎えるに理想的なセッティングだと考えたようだが、彼等に間違いはなかった。土曜日はソールドアウト。しかし、この時点でも会場は大変心地よかった。ハイライトとしては「It's Up to You」、「Samba」を含むセット1全て。セット2もまた素晴らしく、ワイルドな「Ice Cream Factory」やゴージャスな「In Reply > Avalon」が聴けて、このトランジションの部分は僕にとってこの週末のベストだ。

日曜日の夜はまるでネクターの夜だった。SKBは今も優しく、ソフトな曲を素晴らしくプレイできると証明してみせ、僕が経験したキモックの音楽の中でも最もテンダーな演奏を聴く事が出来た。もちろん、この新しいホームス−キモックのペアによる強力な演奏は「Mozambique」や「Better Git Hit in Your Soul」で目の当たりに見る事が出来たが、このショーをあのスイートな「Green」で始めた事自体、この夜が非常にスペシャル名夜になる事を物語っていた。続いてキモックの長きに渡るコラボレーター、ビリー・グッドマンの作による「Cowboy」を限りない美しさで演奏。セット2では、近頃再びレパートリーに加わって多くのファンを喜ばせた「High-n-Lonesome」で深い感動を呼んだ。そして「Tongue-n-Groove」のリプライズのあと、スティーブはこれも美しい「Little Wing」でこの音楽のマジカルナイトの幕を完璧な終わり方で閉じてくれた。この素晴らしい夜は同じ会場での数日に渡るショーがあることで実現した。長年のキモックファンには特にこのような1都市+マルチナイトの環境をお勧めしたい。SKBが彼等のベストを尽くす事が出来、しかも彼等のレパートリーを新旧共に素晴らしい演奏で聴く事が出来る環境だと思うからだ。

Words: Alan Dorchak
Photos: Joe Iudice
JamBase | Chicago
Go See Live Music!

SKBは秋のツアーの最終日程をこなそうとしている。残ったショーは以下の通り。

11/08/01 Club Laga - Pittsburgh, PA
11/09/01 Water Street Music Hall - Rochester, NY
11/10/01 Northern Lights - Albany, NY
11/11/01 Bearsville Theater - Woodstock, NY

そしてSKBは日本へ出発する前に10日間の休養をとる予定。WATCH OUT TOKYO !!

11/02/01 Abbey Pub - Chicago, IL
Set 1: Cole's Law > Tangled Hangers, Freeze Frame, Long Form part 4, New Loop in C, Five B4 Funk
Set 2: A New Africa, Tongue 'n' Groove, Moon People, Long Form part 1, ARF, Sleepwalk

11/03/01 Abbey Pub - Chicago, IL
Set 1: It's Up To You, Baby Baby, Why Can't We All Just Samba, Incantation, Bad Hair, New Loop in "C"
Set 2: You're the One, Ice Cream Factory, Five B4 Funk, In Reply > Avalon, E: Steel Guitar Rag

11/04/01 Abbey Pub - Chicago, IL
Set 1: Green, Cowboy, A New Africa, Severe Tire Damage, Kissin' the Boo Boo, Better Get Hit in your Soul
Set 2: High & Lonesome, My Favorite Things > Drums > My Favorite Things, Mozambique, Tongue 'n Groove, Moon People, Little Wing

2001年11月7日掲載

和訳 by wolf

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