サンフランシスコ・ベイエリアには、週に3、4夜、下手をすると毎夜と言っていい程どこかで誰かのジャムを聴きに行くという強者がいる。我が愛すべき友人ロブ・ウインクラーもその一人。彼の音楽を愛するポジティブな姿勢は、まわりのファンにも伝わりやすく、一緒に踊っていると楽しみが倍増する。ただ、ずっと側にいて踊ってくれればいいのに、あちこち動き回る傾向あり。このレビューは彼の大好きなギャラクティック&フレンズ@グリークシアターの模様をJambaseに投稿したもの。

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この記事のオリジナルはJambaseで。

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フォトはJambaseのDeeAnne Herman (SuperDee)が撮影。

GREEK THEATRE EXTRAVAGANZA
Galactic & Friends @ Greek Theatre, Berkeley, CA
May 27, 2001
by Rob Winkler

Yeah! グリーク・シアターでのMountain Aire二日目は途方も無いミュージシャンシップの体現とバンドの枠を超えたインタープレー、そしてあのスーパー・ジャムバンド、Garage A Troisの飛び入りで期待以上の体験をさせてくれた。

この日はいつも奇妙奇天烈、狂おしいサイコ・ジャズのCritter's Buggin(シアトル出身)で始まった。見る目が飛び出るようなコスチュームとあふれんばかりの才能に身を固めたこの5人組みはまるで曲の構成やメロディーを無視したようなジャムを演奏。ノイズっぽくてサイケデリックなパーカッションを中心としたジャムは多様な変化をみせた。心臓の弱い人にはお勧めできないね。

Skerik | Photo by SuperDee

次はジャム・シーンにはまだ新しいロバート・ランドルフ&ザ・ファミリーバンドが登場。アメリカの東北、ニュー・ジャージーの「ご近所」から飛び出した彼等のサウンドはジャム・ミュージックの世界ではむしろ新鮮な印象だ。近所の教会で演奏したバックグラウンドに基づいた作風で、ファンキーなベースとキーボードが基本となり、その上をロバートのペダル・スティール・ギターが断続してうねり、飛び交い、歌う。ロックアウトしっぱなしのリヴァイヴァル(旅する宣教師による信仰復興のための行事。通常ゴスペル的な音楽を伴う)みたい。飛びぬけたテクの鋭さやチャレンジングな内容ではないが、踊れるし、文句無しに楽しめる。彼等がVoodoo Chileのカバーを演奏し始めた頃には、会場は総立ちになってグルーブしていた。

Robert Randolf | Photo by SuperDee

この日3番手はチャーリー・ハンターのバンド。ドラマー、パーカッション、そしてかつてのトリオのメンバーで(The Other Oneにも参加した事がある)スムーズな演奏で定評のあるジョン・エリスがサックスで参加。初めはチャーリーのいつもの演奏どおりにメローなスタート。が、曲を重ねるにつれ、僕が今まで観たものの中で最もアップビートで踊れるチャーリー・ハンターのショーになった。何千人もの熱いファンを前に、セットの終わり近くにはドラムの名手スタントン・ムーアやCritters Bugginのメンバー達も加わって、観衆の全てが腰を振ってグルーブしているようだった。

そして遂にこの日のヘッドライン。ミシシッピ・デルタをパワフルなリズムで突き進むジャムバンドの最高峰、ギャラクティックの登場。あのニューオルリンズ・ファンクの伝説、メーターズのファンクとリズム&ブルースをちりばめ、生々しいブルースのパワーと喜びあふれるブラスバンドの要素を全て兼ね備えたギャラクティックは圧倒的な力を見せつけた。この日、グリークシアター(キャパ約8000人)には4000人程の観客がいたが、おそらくギャラクティックにとってトリを勤めるショーとしては最大の動員数だろう。会場には「半分しか入っていない」と感じるより、むしろ熱狂的なファンが一同に集結しながらも、会場全体がゆったりとしており、観衆は一様に自由にスペースを保って踊る事が出来る環境があったと言った方が良い。

Greek Theatre | Photo by SuperDee

彼等のショーは爆弾に点火するようなBaker's Dozenで始まった。Dirty Dozen Brass Bandに対する敬意をパワフルに表現するこの曲はグリーク周辺の温度を瞬く間に5度上昇させた。スタントン・ムーアが繰り出す踊らずにいられないリズムの直中、座って鑑賞する人なんてのがいるとすれば、きっとその人のズボンが座席に釘付けされているからだとしか思えない。次の曲はChurch、かつてギャラクティックの名刺とも言えた初期のすらりとしたサウンドを基にした曲で、最近ではご無沙汰だが、このバージョンはソウルフルなものだった。この後、リッチのぶよぶよしたシンセとファットででかいベンのバリトンサックスをフィーチャーした漫画のようなShucktimeと続く。そしてハウスマン登場。新曲2曲、そしてかなり下ネタの匂いが強い「Won't Wash Out」(ハウスマンの曲の中では僕の大好物)を含む数曲を披露した。

ハウスマンがステージを降りた後、新曲をもう一つ演奏。おそらくタイトルはSize It Upだろうと思う。かなりアップテンポで複雑な曲で、なんとドラムンベースのアクションたっぷり。トラディショナルなファンクとはかけ離れた印象だが、ワイルドでサイケなジャムが長く続き、僕の頭はぐるんぐるんに回ってしまった。将来、さらにこんな曲が出てくるとなると、注意しないといけない。この後はベンのハーモニカとジェフのスライドギターを前面に出したデルタ・ブルース系の(曲というよりは)ジャムが続いた。ジャムのベースには激しいまでのパーカッションがあった事は言うまでもない。そしてマット・チェンバリンとCritters Buggin'のマイク・ディロンによるドラムスに突入した。スタントンはこのドラムス・ジャムの間、何かとてつもなくサイケデリックな演奏をしていて、僕は暫〜くデッドのショーでミッキーとビリーが叩きまくっているような幻想にとらわれた。そしてステージ上はスタントンだけによるファンク・ジャズドラムワークショップと化した。

スタントンのドラムスは長く、「ちょっとかったるいな〜」と感じたその時だった。ステージにSkerikとチャーリー・ハンターが上った。ギャラクティックのセット全てに参加したマイク・ディロンも。瞬時にしてその場は予想だにしなかったあのジャズ・ファンク・フュージョン・スーパー・ジャムバンド、伝説の変態バンド、GARAGE A TROISのセットに摩り替わった。Skerikはそれを確かめるように「ギャラクティックのみんながトイレに行っている間、ちょっとだけお邪魔するよ」と宣言。ファンの多くは彼等のジャズフェスでの活躍、特にもう一つのスーパー・ジャムバンド、Oysterheadsの前座を勤めた事で彼等を知っているわけだが、元々このトリオは数年前スタントン・ムーアのソロアルバムをきっかけに集まったミュージシャン達だ。今、Garage A Toisのフルツアーを想像しただけで涎を垂らすファンも多い。このグリークでの短いセットはその可能性とデマンドをさらに煽る事になるだろう。WOW。僕がその時言えるのはそれだけだった。聴いて分かった曲はオーネット・コールマンの「Ramlin'」、最近Living Daylights(注2)が頻繁に演奏している曲。マイク・ディロン(ここに来て彼もこのバンドの一員のように思えた。Garage A Quatreの可能性もあり?)が「Everybody get small」か何かのフレーズを歌い始めた辺りには演奏はかなりダークで歪んだものに変っていた。ディロンとSkerikがこんなワープした音楽のビジョンをシェアしている事にはむしろ驚くべき要素はないだろう。

さて、30分後にはギャラクティックのメンバー達がステージに復帰し、サックスプレーヤーも数珠つなぎで加わった。Skerik、Critters Buggin'のブラッド・ハウザー、20th Congress(注3)のCheme、そしてJohn Ellis。ここまで来るとやらざるを得ないブラスバンド大会。Dirty Dozenの「Charlie Dosen」を演奏した。この曲で僕はまるでニューオルリンズにトランスポートされたような気分になり、エビを煮た匂いまで嗅げてしまいそうだった。サックス対決はここで頂点に達し、ホーンの音がお互いに絡み合い龍巻のようになって上昇していった。このラインアップはギャラクティックにステージを明け渡す前に次の曲、ライオネル・ハンプトン・ビッグバンドの名作「Hamp's Hump」まで続き、ジャム放題だった。

この後のギャラクティックのサウンドはヘビーなデルタ・ブルースを中心としたものに落ち着いたようだった。「Bobski/Jeffe 2000」のグルーブに始まり、「Villified」になだれ込む。ここでハウスマンが二回目の登場。ブルージーなハーモニカをフィーチャーした新曲、「Don't Do It」は心で感じるいい曲だ。ショーが終わってから24時間以上たった今も僕の頭の中でこの曲が休みなく渦巻いている。そして「Sweet Leaf」が飛び出す。驚いた事に、隣に立っていた警備員のオッサンが全く予期していなかった選曲に大興奮。まるで少年時代を思い起こすかのように、ファンキーな曲と化したブラック・サバスのストーナー賛歌にどっぷりとはまって踊っていた。そしてセットの終わりはハーモニカがリードするブルースメタル、「Shibuya」。ロバート・ランドルフがスティール・ギターの不思議な飾りを付け添えていた。

アンコールはメーターズの名作「アフリカ」をパワーアップして演奏。本日はこれで「締め」というパーフェクトさを感じた。夜通し考えていた事がある。いかにしてギャラクティックがアメリカのブラック・ミュージックをここまで熟練し、徹底して探求し、さらに拡張できるのか。たった5人の白人の男達。彼等は、この生の、脂のぎらぎらしたような音楽に心とソウルを全てつぎ込んでいる。そして、ハウスマンがしわがれ声で歌う「Take me back to the motherland」をふと思った時、全てが納得できるような気がするのだ。

$ Baker's Dozen
Church
Shucktime
Won't Wash Out
(new Houseman tune)
Thrill
Size It Up
# (bluesy/harmonica jam) -->
# Drums -->
[GARAGE A TOIS - 4 or 5 songs, about 30 min, starting with Ramblin')
#$@ Charlie Dozen
#$@ Hamp's Hump
Boski/Jeffe 2000 -->
Villified
Don't Do It
Sweet Leaf
% Shibuya
E: Africa

** entire show with Mike Dillon (Critters) on percussion
$ with Skerik (Critters) on sax
# with Matt Chamberlain (Critters) on drums
@ with Brad Houser (Critters), Cheme (20th Congress) and
John Ellis (Charlie Hunter) on sax
% with Robert Randolph on pedal steel guitar

 

 

 

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