Sound Tribe Sector 9: Part 2
2002年4月12日
Sound Tribe Sector 9のファミリーは12人から15人のコアメンバーが中心になって共存している。リーダーと呼ばれる存在はない。インタビューなどに応じるスポークスマン的な役目をしているメンバーもいない。彼等はショーの外でもエゴがない。彼等が共存を優先するからだろうか。
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photo by Wyatt Dexter
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Saxton、Kaptain Harris、Scottieの3人は、Tribeのショーのパート1を演奏する。チケットに示された開場時間に会場に着いて、フロアの仲間達とハグを交わしながら、ステージ上中央に置かれたブルーのライトに沈んでいるクリスタルなどをチェックアウトして時間を過ごす。暫くすると、ダブやダウンテンポのビートが聞こえ始める。Kaptain Harrisがアクティブなヒーリングを観客にうながし、SaxtonとScottieがそれぞれの心を開いて話しかけてくる。「星達の軌跡を見届けよう。彼等は生きている。僕らは彼等に抱かれている。生命のバイブレーションを探しに行こう。」
彼等3人のセッションがミドルテンポへ、さらにドラムンベース、ブレイクビートへと熱くなり始める頃、開場はほぼ埋まった状態だが、人々はまだ動き回り、話し合い、ドリンクを買いに行ったりと忙しかったりする。が、観衆のバイブレーションは無意識のうちにもSector 9との会話をすでに始めているのだ。彼等DJとMCのセッションは特に集中して入り込む事は要求することなく、ただその会話に誘ってくれているわけだ。
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photo by Wyatt Dexter
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会場内の熱気は上昇を続け、いつしかステージ前、フロアは一杯になっている。そしてSector 9のメンバーが静かに登場。Saxtonが声を挙げて宣告する、「Sound Tribe Sector 9's on stage!」DJとMCがフェイドアウトし、オーディエンスが歓声を上げる。歓声が収まるか収まらないかというタイミングで5人のうちの誰かが、ゆっくりと最初の曲を奏で始める。(時には、DJ達が回しているビートをそのままオーバーライドして即興をする事もある。これはこの上ないボーナスだ。)一曲目は即興であったり、ガーンと踊らせる曲であったり、静かにゆっくり始まってビルドアップしていく曲であったり様々だ。どちらにせよ、フロアの前の方にいる観客達は、この時点ですでに忘我の境地にある。笑顔を交わし合い、ただ黙ってバイブレーションを能動的に受け入れているのだ。
9のメンバー達はお互いを見つめ合いながら演奏を続けている。ビートの変更やブリッジへの突入、インプロからテーマへの帰還が起こる前あたりは、皆Zachを注目している。どうやらこの辺では彼がキューを出しているようなのだ。フロアは思い思いにグルーブする観客で蠢いている。ジャムやブリッジの要所要所で歓声が上がり、手が上がり、ピークでは会場全体がこの上もないポジティブなバイブレーションで弾けんばかりになる。実際に弾けてしまう時、観客はスマイルしながら踊り狂い、明るい歓声を上げる。そして、曲が終わる。再び歓声。次の曲のイントロは何事もなかったかのように開始され、再びリスナー達の心の中に全く異なる絵や模様を描きはじめる。
ふとステージの袖を見ると、即興ペインターが一心不乱に彼の心の絵を具現化している。ショーの進行に従ってその絵が明らかになっていく。彼がショーの流れを通じて感じたバイブレーションだ。気のせいか、描かれた曲線がそのバイブレーションの波長のようにも見える。Hunterのアンプの後方では即興詩人が旧式のタイプライターを打ち込んでいる。誰が読むとも知れない詩。だが、その言葉にもヒーリングに参加する彼のポジティブな胸の内が織り込まれているに違いない。
観客達の笑顔は絶えない。マイナー調の曲にさえ、彼等はスマイルで反応している。あるいは、目前での出来事に驚愕しているのか、この出来事を理解しようと懸命なのか、口をポカンと開け、ただステージ上の現象を見つめている。ただビートに身体を委ね、目を閉じ、瞑想しているファンもいる。このスペースだけでなく、世界がこうあって欲しいと願う気持ちがSector 9のファンに生まれるのは、正にこのような瞬間なのかも知れない。それと同じような気持ちになったショーは過去にも確かにあった。それを体験していない程若いファンが多くを占める観客達は、少なくとも次のショーまでそんな気持ちを持ち続けるのだろう。
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photo by Wyatt Dexter
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演奏が終わり、歓声に応えてMurphyがセット1の終わりを告げる。他のメンバーは笑顔で、しかし飄々と楽屋へ向かう。DJとMC達がファーストセットのバイブレーションを維持し、さらに高揚させるために替わってステージに上がる。観衆は、期待に応えてくれたSector 9がセカンドセットでさらにこれ以上の演奏が可能なのかとますます期待を募らせながら会場内に散って行く。「言葉じゃ表現できない」、「あれ以上やられたらオレは一体どうなるんだ」、「観る度に良くなっている」などという感想があちこちで聞かれる。この時、振り返りながら見るステージのクリスタル達は、エネルギーをたっぷり含んだように薄暗い照明の中で輝いている。
Sector 9が再びステージに上がる。DJとMCが兼任している照明とビジュアルの動きが激しくなる以前に、オーディエンスはすでにヒーリングトリップを始めている。即興を伴う音楽のためのライティングは、やはりそのバンドと音楽を熟知している人がやるべきなのだ、と断言してしまう程Saxtonの操作はSector 9とシンクロナイズしている。彼はまた、幾何学形にまつわるスピリチュアルな神秘も理解しているようなので、光線が作るパターンにもそれを求めようとしているのかも知れない。
Sector 9のファンにとって、セカンドセットはショーの流れの中で大切な時間帯を占める。まず、これが無いと物足りない。さらにファーストセットで感じていたヒーリングが、観衆の中でエネルギーを生むように感じるのがこの時なのだ。このエネルギーが互いの間でシェアされ、バンドはそれを感じながら次のレベルへと飛び立つ。ファン達がそれに続く。
Hunterのギターの音がおかしい。ステージマネージャーのIssac、ステージサウンドマンのEricが調整に走る。PAボードではSteveがギターのミックスを点検する。ベースの音がほんの少し飛び出ている。元String Cheese Incidentのサウンドマンの腕は確かだ。彼はSector 9の音に新たなチャレンジとスピリチュアリティーを見出した。
気持ちのあまりの高揚に目立つ行動に走ってしまう観客もたまにいる。Colbyはロードマネージャとして会場のスタッフ等と連絡を取りながら会場内のピースフルな興奮を見守っている。同時に観衆の傾向、バイブレーションへの反応、飲酒量、酩酊度など、私服警官達よりも鋭い観察力で自然に分析している。Sector 9の音楽を彼の鼓膜のどこかで聴きながら。
Murphyがショーの終わりの挨拶をした後、アンコールが来るとは限らない。会場の営業時間もあるが、アンコールをしようと感じなければ彼等はやらない。グッズ販売係のGeneは、ファンにヘルシーな食生活やオーガニック産業へのサポートを説きながらT-シャツ、CD、ステッカー、帽子などを売っている。ショーを通じて知り合ったファン達への感謝やおやすみも忘れない。
人々は会場を離れながら、それぞれの生き方を見つめ直している。音楽に限らず、自分にとってクリエイトするという事はなんなのか。ポジティブで、楽しくて、ピースで、仲間達と独立した生活を送れるような事、それでいて自分が出来る事って何だ。まだ自分が考えなかったような事があるんじゃないか。それを見出すには何をすればいいか。そう感じ、それをシェアする人々は、ヒーリングを終えて本来あるべき自分を思い浮かべる。その自分との同調が新たな課題に成っていく。バイブレーションはまだ身体も心も覆い続け、震動させている。
文 by wolf
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