ポールスター誌はアメリカでのエンターテイメント産業、特にプロモータやオーガナイザの間ではスタンダードとなっている産業専門誌である。「ホット・スター」という欄に、サウンド・トライブ・セクター9の記事が。彼等の音楽とユニークで美しい環境はこの産業誌でも注目されているらしい。
ポールスター誌より
2002年1月28日
サウンド・トライブ・セクター9は、ライブ演奏へのユニークな見方をするユニット。バンド自体やその音楽だけでは語りつくす事が出来ない。環境をクリエイトする事に全力を注ぐことこそが、かれらの最終目的だ。
STS9は何も言わず、ただベニューにポジティブなバイブを吹き込む事に全力を注ぐ。このバンドのファンキーでサイケデリックな即興によるダンス・ロックとグルーブの複雑なブレンドは、ある雰囲気の背景となる役目を果たし、ファンはそこから多くの要素を吸収する事が出来る。そこにはスピリチュアリティー、学び得る事、そしてヒーリングの要素がちりばめられている。確かに言える事は、それが観客にとって物事の見方を拡張する機会である事だろう。
それはまた、ヴォーカリストが不在でバンドの誰もがスポットライトを浴びる事のない平等な環境でもある。まず、ビジュアルと照明はオーディエンスとバンドの境を生む事なく照らされる。ショーの印象をそのままライブで表現するペインターやヒーリングのアートをシェアするマッサージ・セラピストなど、参加する仲間のアーティスト達さえもそれに包含される。
コンサートには、数時間踊り続けたり、彼等のジャムを録音する献身的なファン達がやってくる。「僕達のショーでは、心地よくてオープンな環境を楽しめる。とてもポジティブなバイブに満ちていて、リラックスできるし、心を開いて3、4時間音楽に包まれるスペースなんだ。」STS9のベーシスト、デイビッド・マーフィーはポールスター誌に語る。サンフランシスコ/サンタクルーズに本拠地を置くこのバンドのスピリットはミュージシャンだけにとどまらず、STS9のビジネス面に関わるスタッフも、まずひとりひとりが親友であり、グループの成功に貢献する重要なメンバーと考えられている。「ステージに上がらないメンバー達が、毎晩ショーを築き上げている人々だ、と考えている」とマーフィーは言う。「これらの人々がいなければ、決してバンドだとは言えないね。」
STS9の体験をクリエイトするスタッフはアイザック・コーエン(プロダクション・マネージャ)、クリス・ハリス(ビジュアル/DJ)、エリック・クルーデナー(サウンド・エンジニア/マッサージ・セラピスト)、コルビー・ミラー(ツアー・マネージャ)、ジーン・スミス(マーチャンダイズ)、そしてサクストン・ウォラー(照明/DJ)。
「僕達のビジョンをクリエイトするために、知らない人々を雇って手伝ってもらうという事は決してしたくない。僕達みんな、クルーの全員を含めて同じビジョンをシェアしているからね」とマーフィー。
音楽産業では、金銭的あるいは名声的とは全く別のビジョンをシェア出来るアーティストのマネージャやエージェントを見出す事は容易な事ではない。だが、このチームのメンバーと全く同じように、このバンドはマネージャ、ピーター・ジャクソンやCAAのエージェント、スコット・クレイトンなどとは仕事を共にする以前に友人だったのだ。
「音楽のビジネス面をこなす事は、僕達にとっては非常に難しい事だ。マネージャを選ぶ事までね。なぜなら、僕達にとってこの音楽はこの上もなくスペシャルで神聖なものだからだ。それがアートそのものなんだ、」とマーフィーが解説する。
かつてワイドスプレッド・パニックのプロダクション・マネージャだったジャクソンはSTS9のパーカッショニスト、ジェフリー・ラーナーの友人だった、と彼は言う。ジャクソンはバンドの背景や動機を理解し、それを音楽ビジネスに還元できる数少ない人材だった。
「このバンドをマネージする事は、そのビジョンが二元化されているために大変興味深い仕事だと言える」とジャクソンは言う。「現実の世界で生き残れるよう、商業的な成長の可能性を保たなければならないその一方で、彼等のビジョンをさらに拡張する事に焦点を当てるという、僕達のビジネスのもう一つ別の側面も存在しなければならないからだ。」
「この音楽産業には嫌な人間達がいるという逸話を頻繁に耳にする。だけど、ポジティブで人を信じる姿勢を持って人に接していれば、上手く行く事の方が多いんだ。」
今までSTS9とツリーライン・アーティスツ[Treeline
Artists]がそうであったように、ブッキングの面から見れば、このようなグラスルーツ的なバンドは小さなエージェントで充分可能なようにも見える。マーフィーはこのバンドのビジネスに現在も一役買っているツリーライン・アーティスツのエージェント、オーナーでもあるクリス・ケイトに賞賛の言葉を送っている。だが、長期のキャリアゴールに到達するため、STS9はメジャーなエージェントが必要であろうと考えざるを得なかった。
「僕達は将来ポップなアピールを持つ事はないだろうし、歌を歌わない事が大きな理由でラジオへのアピールもおそらくないだろう。その点で僕達はとてもユニークなバンドだ。だから、この音楽ビジネスの中で長く活動できるためには、ツアー以外になにかユニークな方法を見出さなければならないと感じたんだ。」マーフィーが言う。
CAAと提携する事で海外へのツアー、映画やテレビのスコア、そしてビデオゲームなどを手がけるチャンスを生む事が出来る、と彼は説明する。「ライブ演奏と録音をするのはこの上なく楽しい。ここ数年、その点は変らないだろう。しかし、僕達のキャリアの将来を直視して、どうやってこのビジネスで長く活動できるかを見極めようとしているんだ。音楽のビジネスで安定を図るという事は非常に困難な事だからね。」
現時点で彼等が決断した事の一つはレコードレーベルをその傘下で設立する事だ。ランドスライド・レコードとのアルバム2枚分の契約を全うした後、STS9はこの春ライブ盤のリリースを行う自己レーベルの立ち上げを計画しているが、まだその名前は明らかではない。
このほかにもコンサートの体験に、大学や高校のキャンパスで講演を行う事で、教育の側面をつなげようとするプランもある。その場では、メンバー達の音楽に対する科学的な見方をシェアする事になろう。マーフィーは「僕達は生物学的な立場から、人体の75%が水で出来ているのなら、水の分子が音楽やサウンドと共鳴するだろうという見方もしている」と語る。
ジャクソンは、同じような考えをシェアするオーガニック食製品などの団体とスポンサー契約を結ぶことも考えていると言う。「僕達のファンに批判される事なくむしろ賛同してくれるような方法でね。」
一方、STS9は2月28日に開始する次のツアー準備に忙しい。「人々が他のバンドではなく、僕達を観に来てくれる事は驚くべき事だ。これについては未だに戸惑うね、」とマーフィーは告白する。「その一方で、僕達は人々にユニークなものを提供していると本当に感じている。」
(訳 by wolf)
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